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「岐阜県に文学の土壌を」
角田茉瑳子
この度「小島信夫文学賞の会」の会長として、重責を担うことになりました角田茉瑳子でございます。
この会は、岐阜県を代表する作家の小島信夫先生の文学を顕彰するため、平成十一年(1999年)に開催されました「第十四回国民文化祭・ぎふ99」を契機に、「小島信夫文学賞の会」として設立されたのです。
小島信夫先生は、四十一歳の時、敗戦後のアメリカによる占領時代を描かれた『アメリカンスクール』で、第三十二回芥川賞を受賞されました。続いて五十一歳の時書かれた『抱擁家族』で、第一回谷崎潤一郎賞を受賞されました。この作品は、高度経済成長期の家庭の崩壊を描いたものです。
その他、多くの作品を残しておられます。
常に現代文学の最先端を切り拓いてこられました。
文学の持つ大きな意味である「人間とはなんぞや」という命題に挑み続けておられ、書き続けてこられたのです。
今、心が失われつつある時代にあって、文学の持つ意味は大きく、又、大切な分野となりました。
人間の心の成長は、人間が人間らしく生きられる社会を作っていくための、重要な課題です。
その分野を担うのが文学です。
故吉田豊先生は、「岐阜県に文学賞を」と、心に強く抱かれ、十八年間に亘って力を尽されました。
その後を継がれ、尽力されました前会長の今井春昭先生の御努力も素晴しいものでした。両先生方に及ばないかもしれませんが、私は、微力ながら、岐阜県の地に文学の土壌が育ちますよう、頑張っていこうと思っております。
県民の皆様、「小島信夫文学賞の会」への温かいご支援を、心からお願い申し上げます。
「小島信夫文学賞の会」会長 角田茉瑳子
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